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アスベスト:西伊豆・宇久須に石綿処理施設の計画浮上 /静岡

2009-02-05 (木)

 ◇「雇用」「危険」と賛否両論

 西伊豆町宇久須の採石場跡地に、石綿(アスベスト)を溶かして無害化し、再利用するための施設建設計画が持ち上がっている。地元では「運搬時の飛散が心配」との反対意見と、「雇用の場が生まれる」とする賛成意見の両方があり、反対派は、建設反対の署名運動を始めている。

 計画しているのは、ゼネコンの大林組とリサイクル事業のタケエイが設立したエコプラント(東京都港区)。町への申請書などによると、昨年8月に採掘をやめたケイ石の採掘場跡地約2万平方メートルを利用して施設を建設。アスベストを1500度以上の高温で溶かして無害化し、固化して建設資材などに再利用する計画だ。

 施設が完成すれば、1日あたり飛散性アスベスト9トン、非飛散性アスベスト70・5トン、一般焼却灰41・5トンなど計146トンを処理できるという。11年度からの稼働を目指している。

 建設には県の廃棄物処理施設の許認可のほか、地権者の同財産区6地区の区長の同意が必要。同社は既に各地区で1回ずつ説明会を開催した。町は同社と先月5日に事前協議を行い、「地域住民などの同意を得て本申請があれば、土地利用委員会で審議してもらう」としている。

 同社の山田守取締役は「アスベストの処理能力としては日本一の規模。安全性、環境保全の対策は万全で、地元の理解を求めていきたい」と話す。

 ある区長は「地元の雇用も期待でき、地域活性化にもつながる」と語り、賛成の意向を示した。しかし、2000人を目標に署名運動を始めたガラス作家、生島賢さん(39)は「施設そのものは信頼できるが、アスベストを持ち込むトラックが問題。通学路でもあり生活・観光道路の国道136号にアスベストの粉じんをまき散らす恐れがある」と話し、反対を呼び掛けている。【中村隆】

毎日新聞 2009年2月5日 地方版